オウンドメディアの作り方|制作に役立つCMS・SEOや費用も解説
オウンドメディアは、コンテンツマーケティング手法の1つとして注目を集めています。オウンドメディアを立ち上げたいけど失敗したくない、だから手堅いオウンドメディアの作り方が知りたいと考えるのは自然なことです。
でも実際にオウンドメディアの作り方がわからないのか分からない、それにどの程度の時間とお金がかかるのか。不安や疑問を感じてしまうことでしょう。
今回はオウンドメディアを実際にどうやって作っていくのか、そしてかかる費用の相場と失敗事例も解説します。オウンドメディアを作る際に重要になってくる記事の執筆や運営に便利な分析ツールも合わせて解説しますので活用してください。
オウンドメディア作る前に!メディアのメリットは長くユーザーと繋がること
近頃はオウンドメディアを作ることが流行しています。個人もですが、法人も以前より増して需要が高まっています。以前は高い費用で広告を出すことにより法人の認知を高めてきました。バブル期は認知をしてもらうためよりも高いお金を払って単に派手な広告をした法人もありました。
でも今は手法が変わり、自前でオウンドメディアを作って運用し検索上位になれば充分な効果が出るのです。ユーザー獲得、販路拡大にかかる費用はサーバー、ドメイン、場合によっては外注費と広告に比べて費用を格段に抑えることができます。
さらにオウンドメディアで情報発信を続けること自体がコンテンツとして資産になります。
なぜならユーザーが繰り返しオウンドメディアを訪問したり、集客してくれるストック型のコンテンツという資産だからです。
一度きりの広告ではなく、ユーザーとロングスパンで付き合うためのツールとしても魅力です。ストック型のビジネスの展開も可能になります。有益な情報発信を続けることで人を呼び込みファンにさせる資産になるのです。しかしデメリットも存在するので、先に確認しておきましょう。
オウンドメディアのデメリット
オウンドメディアは手間と時間がかかり、即効性のあるものではない、というデメリットがあります。農業で作物を育てていくように、オウンドメディアを育てていくことになります。根気も費用も必要になります。
オウンドメディアの作り方①KPI設定・準備
例えばリスティング広告であれば、すぐに集客ができます。しかし、オウンドメディアはそういった性質ではなく、集客に時間がかかります。多くのオウンドメディアの集客にはSEO(検索エンジン)を活用するので、検索結果の上位に表示されなければ、集客ができません。
なにかを検索したときに検索ページを毎回3ページ目、4ページ目にいくでしょうか?
気軽に検索したのに毎回そこまで調べませんよね?だから検索したらすぐ出るようにSEO対策をする必要があるのです。
更に質の高い記事を作成できても上位表示には1ヶ月〜1年かかることもあります。
ですのでオウンドメディアで数字を出すためには、最低でも1年は継続して運営することが必要です。
ただし、TwitterやYouTubeなどのSNSを活用して早めの段階で販路拡大を成功しているオウンドメディアもあります。運用時はSEO対策とSNS運用も検討してください。
検索意図や工数を明確にする
オウンドメディア成功のコツは検索意図の把握です。日々変化する需要を把握しターゲットリーチを意識した運用をすることです。ユーザーはどうしてこの検索をするのか。このなぜ、を理解することが検索上位のための工程です。そしてすぐに結果が出にくい分、人件費も根気もいります。
仮に成果が出るのに1年間かかるとしたら、オウンドメディアの運営にかかる工数と人件費はいくらなのかを考えることで経費がいくら掛かるものなのか把握できます。
KPIを設定する
KPIは、重要業績評価指標のことです。オウンドメディアを運用する目的が問い合わフォームからの連絡だとしたら、どれくらいの獲得件数が合格点なのか。その判断指標がKPIです。
KPIを設定しないで運用を続けると、アクセスの増減で判断してしまうリスクがあります。確かにアクセス数も大切ですが、それ以上に大切なのはこの場合問い合わせフォームからの連絡の数でしょう。
するとアクセスが多くても問い合わせが少ない、逆にアクセス数が少なくても問い合わせフォームまでの遷移を組み込んでいるので連絡数は多い、などの分析に役立ちます。KPIを設定することにより、オウンドメディアの運用の成果を正しく測ることができます。
制作は自社と外注の2択
オウンドメディアの作り方の中で重要なポイントとなるのはリライト(記事の更新)です。検索上位のためには定期的に記事を執筆し、リライトが必要です。
リライトという定期メンテナンスに必要な人員・予算をきちんと確保しておかなければ、メディアの運用が停止するリスクがあります。ボリューム・KPI・予算など含め自社運用するのか、あるいは外注するのか検討してみましょう。
外注するの注意すべきポイントは運用をすべて委ねるのではなく、オウンドメディアの運用する目的を理解してもらうことです。作業をしてもらうだけにならないように注意しましょう。
PDCAサイクルで戦略の考察を
PDCAとは業務改善や効率化で生産性向上を図るための考え方です。Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)のことです。PlanからDo、Checkと続けてActionまで進めたら始めのPlanに戻ります。
このサイクルをPDCAサイクルといい、オウンドメディアを作る前後で役立ちます。どこのサーバーを手配し記事の執筆や投稿はどうするか、どれだけのPV数が出てその要因を分析して改善に繋げていけるからです。
Doで目標との差がないか確認しながら業務を進め、Checkでは評価リストから正確に評価します。Actionでは課題について論理的に分析することが大切です。手間でも理路整然とすることで誰が聞いてもわかるようにすることが属人化を防ぐことにも繋がります。さらにKPIも組み込むことで全体の目標が達成できるようになります。
ペルソナマーケティング
オウンドメディアのターゲットを明確にするために、想定する読者の属性を絞り込むペルソナを設定しましょう。ターゲットの性格を理解し心情把握をすることで求めていることを特定します。目標達成まで最短距離で進むためターゲット像を共有します。
どんな顔や姿で話すのかリアルに想像できればできるほど、そのターゲットが求めているコンテンツに近づけることができます。すると検索需要とマッチして滞在時間や回遊率も上がります。ひいてはユーザーを満足させられるメディアとして評価され、広告よりも低価格で効果の高いオウンドメディアとなっていくのです。
SEOキーワード選定をする
目標とターゲット設定の次は、キーワード選定です。オウンドメディアの集客方法にはSEO対策、広告、SNSなどがあります。SEO対策は検索ニーズが検索結果で把握しやすく費用もかからないため、対策しやすいです。
設定したターゲットがどんなキーワードで検索をしているのかの洗い出しやCV(コンバージョン)するにはどのキーワードから記事制作をすべきか等、戦略を考えます。キーワード選定の方法はこちらで解説していますので、参考にしてみてください。
あわせて読みたい:SEOを「オワコン化」させないために今すぐやるべきこととは?
オウンドメディア作り方②デザインする
キーワード選定まで終わったら、環境設定に入ります。オウンドメディアはSNSでの拡散がしやすいので、短期スパンでのPV数が増減しやすい特徴のメディアです。
容量や必要な機能を素早く柔軟に変更できるサーバーを選ぶようにしましょう。近年はクラウド型のサーバーが主流で、機能・容量の変更が容易なものが増えてきました。
ドメインの選定方法
構築するオウンドメディアの方向性によりますが、新規で取得するよりも既存ドメインの方が有利です。既存のサブドメインかディレクトリ分割を活用することもできます。既存のサブドメイン、ディレクトリ分割の選択をおすすめする理由は3点あります。
・ドメインの維持費、設定が簡単
・検索エンジンに評価される時間が短縮される(既存ドメインが検索エンジンに評価されているため)
・問い合わせへの遷移がしやすい
サイトとフレームをデザインする
サーバーやドメインの準備ができたら、サイトデザインを決めましょう。全体の配色や記事のレイアウト、字体やロゴは、見た目の印象を左右する大事な要素です。ここまでに決めた目標や方向性と同じ類のデザインを慎重に進めましょう。
一般的にはCMSと呼ばれる枠組みや機能が、はじめから揃っているものを使っているのがほとんどです。社内・外にエンジニアを配置できるのであれば独自のCMSを構築することも可能です。
CMSには無料のものから優良なものまで多種多様ですが、WordPressがメジャーのオープンソースです。様々なデザインが用意されていて、サイトデザインが簡単にできるものもあります。
理念と規則を明確化する
オウンドメディアを作っていくと途中で指向性を変えていくこともあるでしょう。そのときに備えてあらかじめ理念や規則を決めておくとコレは変えてもコレは変えない、という線引が可能になります。その際に理念と規則を明確化していないと迷走してしまうリスクがあります。
さらに下記の3点も決めておくと良いでしょう。
・写真選定の基準
・文章の字体
・禁止事項
不必要な時間や工数が減らせるので費用削減にも繋がりますので、是非とも明確化をおすすめします。
オウンドメディアを作る際にかかる費用
オウンドメディアの構築には大きく下記の3点の費用がかかります。
・サーバーとドメインの費用
・オウンドメディア制作時の外注費
・オウンドメディア制作後のコンサルなどの費用
サーバーとドメインの費用
オウンドメディアの構築にかかる費用相場について見ていきましょう。
サーバー、ドメイン費用
オウンドメディアを制作するには、まずレンタルサーバーとドメインの契約が必要です。基本的には月額、年額単位で固定費がかかります。各費用の相場は下記です。
サーバー:年額1万円〜3万円
ドメイン:年額1,000~1,500円
サブドメインを取得し、オウンドメディアを構築する方法もあります。費用を抑えたい場合におすすめです。ただし既存ドメインの後方にblog2などついてしまうので、全く別の名称のドメインで管理したい場合には不向きなことに注意しましょう。
オウンドメディアの外注費
オウンドメディアを作ってもらう場合の費用相場は100万円~300万円と高額です。自作できれば費用面では良いですが煩雑でわかりにくいこともたくさんあります。サーバーとドメインを契約したら自動で繋がるわけではありません。
初めて見る方には酷なくらいわかりにくいこともたくさんあります。そのため高い費用がかかってでも外注で依頼して使えるようにする方法も選択肢の1つです。
分析ツールはなぜ必要なのか
オウンドメディアは構築がゴールではなく、集客するためには継続的なリライトや、サイトの分析が必要です。 Google Search ConsoleやAhrefsなどを駆使して分析に役立てましょう。
オウンドメディアの作り方③記事の執筆と便利な分析ツール
オウンドメディアを運営するに必須のSEO対策はツールの活用で効率アップが可能です。オウンドメディアの運用段階によりますが、年間で20万は見込んでおくのが良いでしょう。ちなみにAhrefsですと年間1万5千円〜15万円ほどかかります。
ユーザーニーズにSEOを
オウンドメディアの構築において最も重要なことは記事の執筆です。コツはユーザーの検索需要を満たす記事を作成することです。その際は表面的な需要に加えて願望といった、奥深くの潜在ニーズも満たしてあげるようにすると良いでしょう。
維持は社内と外注のどちらにするか
オウンドメディアを維持するのは大変でも社内で完結できるようにすることがおすすめです。理由は外注だと社内に運営するノウハウが蓄積されずに外周先に延々と費用を支払い続けなければなりません。
専門性の高いオウンドメディアほど、内容に詳しい社員がコンテンツを作成した方がPVに繋がりやすいです。社内のことを知らないライターよりも、社内の社員だと知り得て執筆できることがあるからです。
結論、全て依頼することは避けることをおすすめします。部分的に外注を使い記事の執筆を依頼するなどが継続して運営することのコツです。
オウンドメディアを作る上で失敗例から学ぶこと
ここまでオウンドメディアの作り方の基礎となる部分を説明しました。ここではオウンドメディアを作っているときに起こる失敗事例をご紹介します。
情報発信をするネタが出てこない
社内でブログを更新・運用を担当していたある社員さんは、新たなオウンドメディアの構築を任されることになりました。オウンドメディアの運用経験はなかったものの、自社ブログのリライトをしていたので、自信があったのです。
しかし、いざ毎日記事を上げ始めると、途端に記事のネタがなくて日々の更新ができなくなってしまいました。外注で記事執筆を依頼したくても外注予算を考慮されず、どんな記事を書いてほしいかの意図もわからないまま依頼もできませんでした。
社内で記事制作を依頼しようにもやり方が分からずに時間だけが過ぎてPV数が伸びず、オウンドメディアを立ち上げて数ヶ月で運用が停止してしまいました。このケースは、中小企業が陥りやすいケースなのです。
キーワード選定の重要性と属人化のリスク
上記の社員さんが失敗してしまった理由には、簡単な告知用のブログとオウンドメディアで扱う記事を混合してしまったことにあります。ブログと違ってオウンドメディアで集客するためにSEO対策をしながら記事執筆が必要です。
SEO対策とは、Googleなどの検索エンジンにて記事を上位表示させるためのマーケティングの方法です。オウンドメディアの記事制作には必須です。その社員さんは初期の段階で、キーワード選定が必要だったのです。
オウンドメディアの運営は記事執筆だけと思っていたことも失敗要因です。外注費でライターを雇い記事の執筆を依頼することで負担が減ります。オウンドメディアの運営には、キーワード選定、リライト、記事表示の順位確認などやることが多いです。
さらにSEOで上位表示するための記事執筆には、準備にも執筆にも相応の時間がかかります。
しっかりした記事には1記事に10時間はかかります。そのためオウンドメディアの運営では、外注の活用も選択のひとつなのです。
ターゲット選定とPV数を意識する
オウンドメディアのターゲットは誰なのか、SEOの対象となるキーワードを選定した上で記事の執筆数はどうするのかなど負担は大きいです。ノウハウがないと想像できない工数や費用がそもそもわからないのも仕方ない部分ではあります。
だからこそ社内にノウハウがない場合は、費用がかかってもプロに相談するのがおすすめです。その際は自社の社員も巻き込みノウハウが社内に流入するようにすることも長期の運営に有益です。
オウンドメディアの作り方|まとめ
オウンドメディアの構築にかかる費用や、作り方、維持する方法や注意点を紹介しました。その後の運用をするにも、想像以上に手間がかかることがおわかりいただけたことでしょう。
オウンドメディアの作り方は、目的や役割によって変化します。今回解説した構築の基本的な部分は自社で完結できる部分もあるでしょうし、逆に困難な部分は外注することの選択もご理解いただけたのではないでしょうか。
費用の相場と失敗事例も参考に、オウンドメディアを作る際に活用していただけたら幸いです。