飽和する弁護士業界で埋もれないための集客戦略
弁護士の数が年々ふえている今日、ただ資格を持っているだけでは仕事を安定して得るのが難しくなっています。昔のように紹介だけに頼る集客方法では、他の法律事務所に埋もれてしまいかねません。特にネット検索が当たり前になった現在では「見つけてもらえる工夫」や「選ばれる理由」が求められます。
本記事では、競争が激しい弁護士業界で埋もれないために必要な集客戦略や差別化の考え方、具体的な施策を解説します。これから独立を考えている方も、すでに開業している方も、集客を見直すヒントとしてご活用ください。
弁護士に「戦略的な集客」が求められる理由
弁護士としての実力があっても、それだけでは仕事につながりにくい時代になりました。依頼者の多くは、まずインターネットで情報を集め、比較し、自分に合った弁護士を選ぶようになっています。こうした変化のなかで求められるのが、「戦略的な集客」です。
ここではまず、そうした戦略的な集客が必要な理由を見ていきましょう。
弁護士数の増加と競争の激化
ここ数年、司法試験の合格者数が増えた影響で、弁護士の登録数も増加しています。その結果、業界全体の競争が激しくなり、ひとり当たりの仕事量を確保するのがむずかしくなってきました。特に都市部では、同じエリアに多数の法律事務所が存在し、依頼者の取り合いになるケースも珍しくありません。
また、企業法務や顧問契約といった安定した分野は大手事務所に集中する傾向があり、個人向けの案件でも競争は年々厳しくなっています。このような状況のなかで、仕事を安定的に得るには、ただ待つのではなく、自分を見つけてもらうための工夫が欠かせません。競争環境を正しく理解し、適切な対策を講じることが重要となります。
従来型の集客が通用しない理由
かつては、紹介や口コミに頼った集客が弁護士業界の主流でした。知人や関係者からの紹介で依頼を得る形は、信頼性も高く、安定した流れをつくれていたからです。
しかし今では、インターネットやスマートフォンの普及により、依頼者は自分で情報を集め、複数の弁護士を比較したうえで相談先を決める時代になっています。加えて、無料の法律相談サイトや、AIによる契約書作成ツールなど、弁護士が担っていた一部の業務も代替されつつあります。
つまり「紹介が来るのを待つだけ」「チラシを配るだけ」といった従来型の集客法では、新規の依頼につながりにくくなっているのが現実です。これからは、自ら発信し、見つけてもらうための工夫が不可欠といえるでしょう。
集客で埋もれないための差別化戦略とは
弁護士として選ばれるには、検索すれば多くの事務所が出てくるなかで「なぜ自分なのか」を明確に伝える必要があります。そこで重要になるのが“差別化”という視点。どんな分野を得意としているか、どんな人の役に立てるかといった個性を打ち出すことで、依頼者の記憶に残りやすくなります。
ここでは、埋もれない弁護士になるための具体的な差別化の方法を紹介します。
専門特化で「誰のための弁護士か」を明確にする
数ある弁護士の中から選ばれるには「誰のどんな悩みを解決できるか」を明確に伝えることが重要です。まずは、自分が強みを持つ分野を絞り込むことから始めましょう。
離婚や相続、労働問題、企業法務など、得意なジャンルに専門特化することで「この問題ならこの人」と認識されやすくなります。さらに、その分野で悩む相談者の具体像も描くことが大切です。たとえば、30代の働く女性、中小企業の法務担当者、高齢の親を抱える子世代など、ターゲットの属性やライフスタイルを想定すると、発信内容に一貫性が出てきます。
誰のために、何を提供したいのか。これを明文化することで、サイトや広告、SNSのメッセージにも軸が生まれます。結果的に、共感や信頼を得やすくなり、集客にもつながっていくでしょう。
比較される時代に「見つけてもらう」仕組みをつくる
スマートフォンひとつで簡単に情報が手に入る今、依頼者は複数の弁護士を比較してから相談先を決めるのが当たり前になっています。そんな時代においては、「ただ存在しているだけ」では見つけてもらうことすら困難です。
そこで重要になるのが、Web検索やSNS上で“目に留まる仕組み”をつくること。具体的には、専門的な知見を活かしたブログ記事や、相談者の不安をやわらげるような動画、図解入りのコンテンツなどが効果的です。こうした情報発信を通じて、信頼や親しみを感じてもらえる接点を増やしていくことが、自然な集客につながります。
「検索される存在」から「選ばれる存在」になるために、自分の強みや価値を見えるかたちで継続的に届けることが重要といえるでしょう。
個性・キャラクターを打ち出す
弁護士として専門性を打ち出すことはもちろん大切ですが、それだけでは「この人に相談したい」という気持ちには届きません。今の時代、多くの人が情報発信を通じて人柄や考え方を見てから依頼を検討しています。だからこそ、個性やキャラクターを前面に出すことが差別化の武器になります。
たとえば、穏やかな語り口の動画や、ユーモアを交えた法律解説、親しみのあるプロフィール紹介などが、共感や信頼感を高めてくれます。また、SNSやブログで日々の想いや姿勢を伝えることで、「この人に話してみたい」と感じてもらう機会が増えます。
自分らしさを見せることで、単なる法律家ではなく、“相談しやすい存在”として心に残るようになります。
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弁護士の具体的な集客方法
差別化の軸が定まったら、次に必要なのは具体的な集客施策です。現在の弁護士業界では、ホームページやブログといったWeb上の情報発信を中心に、SNSや動画によるブランディング、広告による認知拡大など、多様な方法が活用されています。
ここでは、それぞれの方法を具体的に紹介していきましょう。
ホームページと専門性と「価値」を伝える
弁護士の集客において、ホームページは単なる名刺代わりではなく「誰のどんな悩みをどう解決できるか」を伝える重要な接点です。なかでも、検索エンジンからの流入を得るにはSEO対策が欠かせません。
たとえば「離婚 弁護士 名古屋」といった具体的なキーワードで検索された際に、自分のサイトが上位に表示されれば、相談につながる可能性が高まります。専門分野に特化したページを増やし、法律の知識をわかりやすく発信することで、専門性・信頼性・権威性(E-A-T)を示すことができます。
また、プロフィールや過去の実績、対応方針なども丁寧に記載すれば、相談者の安心感にもつながります。訪れた人に「この先生に頼みたい」と思ってもらえるサイト設計が、集客の第一歩となるでしょう。
ブログ・オウンドメディアを継続し信頼を構築する
弁護士が自ら情報を発信する場として、ブログやオウンドメディアの活用は非常に有効です。専門的な内容をわかりやすく発信しつづけることで、相談者からの信頼を得やすくなります。
たとえば「離婚後に起こりやすいトラブルと対処法」や「相続争いを避けるためのポイント」など、実際の悩みに寄り添った記事は、多くの人の検索ニーズに応えられるでしょう。定期的に更新できる点もブログの強みで、法改正やニュースをタイムリーに扱うことで、読者との距離も縮まっていきます。
また、積み重ねた記事はSEOにも効果を発揮し、検索エンジンからの流入増加にもつながります。日々の発信を通じて「信頼できる弁護士」というイメージを自然に育てていけるのが、ブログの大きなメリットです。
SNS・YouTubeでストーリー性と人間味を見せる
弁護士の集客において、SNSやYouTubeの活用は“人柄”や“考え方”を伝える手段として効果的です。法律の専門性だけではなく、どんな価値観を持ち、どう依頼者に寄り添うのか。そのストーリー性こそが、信頼や共感につながります。
InstagramやXでは、日々の想いや時事ネタへのコメント、法律の豆知識などを発信することで、フォロワーとの距離が縮まります。YouTubeでは、解説動画や事例紹介、法律相談の流れなどを映像で届けることで、理解しやすさと安心感を同時に提供できます。
重要なのは「顔が見える存在」になること。投稿の継続や誠実な対応を通じて、見た人に「この人なら相談できそう」という思いを育てていきましょう。
リスティング広告・SNS広告で認知度を上げる
即効性のある集客手段として、リスティング広告やSNS広告の活用が挙げられます。特に「離婚 弁護士 東京」など具体的なキーワードで検索したユーザーに広告を表示できるリスティング広告は、法律相談を今まさに求めている人に届きやすいのが強みです。
検索結果の上位に表示されることで認知度が高まり、クリックから相談につながる可能性も高くなります。また、InstagramやXなどのSNS広告では、年齢層や地域、関心ごとなどを細かく設定できるため、ピンポイントでターゲットにアプローチできるでしょう。
ただし、広告の効果は出稿をやめるとすぐに落ちてしまうため、継続的な改善や費用の見極めが必要です。短期間で成果を上げたい場合には、有効な選択肢といえるでしょう。
LINEなどの顧客接点を活用する
いまや日常生活に欠かせないツールとなったLINEも、弁護士にとって重要な顧客接点のひとつです。メールに比べて開封率が高く、ほとんどのユーザーが通知をその日のうちにチェックしています。
問い合わせのハードルが低いため「ちょっと聞いてみたい」という段階の見込み客ともつながりやすくなります。連絡手段としてLINEを取り入れることで、依頼者とのやりとりもスムーズに進められるでしょう。
また、事前にトークでやりとりしておけば、初回相談時の緊張もやわらぎやすくなります。さらに、リマインドやフォロー連絡にも活用できるため、信頼構築のツールとしてもおすすめです。自然な形で相談者との関係を育てたいなら、LINEを活用しない手はありません。
ポータルサイト・比較サイトを活用する
ポータルサイトや比較サイトへの掲載は、弁護士が集客の幅を広げるうえでとても有効です。これらのサイトは検索エンジンに強く、自分の事務所サイトが上位に出づらい場合でも、間接的に認知を広げられるという利点があります。
たとえば「借金相談 弁護士」や「相続トラブル 法律事務所」といったキーワードで検索した際、ポータル経由で自分のページにたどり着くことも十分に期待できます。登録時には、得意分野や対応エリア、相談スタンスなどを丁寧に記載しておけば、適切なユーザーとのマッチング精度も高まります。
ただし、掲載事務所数が多いため、強みをしっかり打ち出さなければ埋もれてしまうおそれもあります。あくまで他の施策とあわせて使うことで、より効果的な集客が見込めるでしょう。
セミナー・相談会・交流会など対面の機会をつくる
ネット集客が主流となった今でも、対面での接点づくりは弁護士にとって大きな強みとなります。セミナーや相談会は、一度に複数の参加者へ情報を届けられるうえ、信頼関係の土台づくりにもつながる貴重な機会です。
特に相続や離婚など、感情が絡みやすいテーマでは「この人に任せたい」と感じてもらえるかが決め手になります。相談会で直接話すことで、相手の不安を軽くし、早期の受任にもつながるでしょう。また、参加者との交流を通じて、今すぐの依頼には至らなくても将来の相談先として記憶に残る可能性も高まります。
近年では、オンラインセミナーの開催も一般化しつつあり、遠方の相談者とも接点を持てるようになりました。発信力と人間味を兼ね備えた場を活かすことで、集客の可能性を広げられます。
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弁護士が集客で失敗しないための注意点
どれだけ優れた施策を取り入れても、方向性が間違っていれば集客効果は思うように得られません。弁護士の集客では、専門性や強みを伝えるだけでなく「誰に届けたいのか」を明確にする視点が必要になります。
この章では、弁護士が集客で失敗しないための注意点とその対策について詳しく見ていきましょう。
ターゲットが曖昧で誰にも刺さらない発信になっている
「誰でも歓迎」というスタンスは、一見親切に見えるかもしれませんが、実は誰にも響かない情報発信になりがちです。弁護士として発信する際にターゲットが明確でないと、相談者は「自分の悩みに寄り添ってくれる人かどうか」が判断できません。
たとえば、離婚に悩む30代女性と、企業法務を求める法人担当者では、求める情報も言葉のトーンもまったく異なります。それぞれに合ったメッセージを届けるには、まず「誰に何を伝えたいのか」をはっきりさせることが第一歩です。
具体的なペルソナを設定し、その人の不安や疑問に対して答えるような発信を意識すれば、自然と共感や信頼が集まっていくはずです。情報の質だけでなく、届け方にも戦略が必要と心得てください。
自分の得意分野や強みをうまく打ち出せていない
集客がうまくいかない原因のひとつに、自分の強みや得意分野がきちんと伝わっていないことが挙げられます。どの分野にも対応できるとアピールしても、依頼者側には「この弁護士が本当に得意なことは何か」が伝わりづらく、選ばれる決め手に欠けてしまいます。
たとえば、離婚や相続、労働問題など、それぞれの分野に特化した実績や視点を打ち出すことで、「この悩みならこの人」と認識されやすくなります。また、自身の経験やエピソードを交えて語ることで、より親近感や信頼感も高まりやすくなるでしょう。
幅広く対応できることと、強みを明確にすることは両立可能です。まずは「何に最も貢献できるか」を見極め、軸のある発信へとつなげていきましょう。
問い合わせにつながらない導線設計ミス
せっかくホームページやSNSで集客をがんばっても、問い合わせにつながらないというケースは少なくありません。その多くは、導線設計の不備にあります。
たとえば、問い合わせボタンが見つけにくかったり、クリック後に入力項目が多すぎたりすると、ユーザーは途中で離脱してしまいます。また、初回相談の流れや費用がわかりにくいと、不安が先立ち行動につながりにくくなります。
重要なのは、相談者の行動ステップを意識して導線を整えることです。動画からLINE、ブログから予約フォームなど、最適な順路を設計し、ストレスなく相談につなげられる仕組みを作りましょう。情報発信だけで満足せず、その先の動線までしっかり設計することが成果を左右します。
【独立前に】差別化できる弁護士になるための集客準備
これから弁護士として独立を考えるなら、開業後すぐに差がつく「集客の土台づくり」を意識しておくことが大切です。特に今の時代は、専門性や人柄がはっきり伝わらなければ、埋もれてしまうリスクもあります。早い段階から準備を整えて、独立後のスタートダッシュにつなげましょう。
事務所の価値観や方向性の言語化
弁護士として独立する際に、大切なのが「自分は何のために弁護士として活動するのか」という軸です。そのためにも、事務所として大切にしたい価値観や、どんな人の力になりたいかといった方向性を、言葉として明確にしておくと良いでしょう。
開業直後は目の前の案件に追われがちですが、事前に言語化しておけば、判断に迷ったときの道しるべになります。「依頼者の再出発に寄り添う事務所」「地域に根ざした相談窓口」など、自分なりの理念を持っておくことで、発信内容やサービス設計にも一貫性が出てきます。
短期的な成果に流されず、ブレない事務所経営を続けるためにも、独立前の今こそ、価値観と言葉をしっかり固めておきましょう。
実績や得意分野をまとめたポートフォリオ作成
独立を見据える弁護士にとって、自身の実績や得意分野を整理したポートフォリオは大きな武器になります。これまで関わってきた案件の傾向や、特に強みを発揮できた分野を言語化・可視化することで、自分の価値を客観的に把握することが可能です。また、相談者に対して「この人なら安心できそう」と思わせる材料にもなるでしょう。
たとえば、解決事例の概要や対応した分野別の経験年数、取り組み姿勢などを簡潔にまとめておくと、後の発信や営業活動にも活用しやすくなります。さらに、自分自身のブランディングにもつながり、専門性の打ち出し方にも一貫性が生まれやすくなります。開業前の段階から蓄積しておけば、独立後のスタートダッシュに大きく貢献してくれるはずです。
SEOに強いホームページの設計
独立後すぐに集客の成果を出すためには、検索エンジンに強いホームページ設計が欠かせません。ただ情報を載せただけのサイトでは、多くの弁護士事務所に埋もれてしまう可能性があります。検索結果で上位に表示されるためには、ユーザーの検索意図に合ったキーワードを戦略的に組み込む必要があります。
また、コンテンツの質も重要です。法律の専門知識をやさしく解説したコラムや、よくある質問への回答をまとめたページなど、訪問者にとって役立つ情報を継続的に発信することが信頼感の向上にもつながります。さらに、スマートフォン対応や表示速度の最適化といった技術面にも配慮しておくと、検索エンジンからの評価も高まりやすくなります。
開業前からしっかり設計しておくことで、安定したWeb集客の基盤を築けるでしょう。
SNS・ブログで「思考」を発信し始める
肩書や実績だけでなく「どんな価値観で動いているか」も発信していくことが大切です。特にSNSやブログは、自分の考えや姿勢を伝える場として非常に有効といえます。
たとえば、なぜその分野に取り組んでいるのか、依頼者にどう寄り添いたいのかといった“思考”を継続的に発信すれば、共感を得られる層が自然と集まってきます。また、単なる法律情報の発信だけでなく、弁護士としての視点や価値判断を加えることで、専門性と人間性の両方を伝えることが可能です。
独立前の段階からこういった「思考」を積み重ねていけば、開業時にすでに“あなたを知っている人”が存在する状態をつくることができます。これは、大きなスタートダッシュにつながる武器となるでしょう。
まとめ
弁護士業界の競争が激しさを増す中、集客で成果を出すには「選ばれる理由」を明確に伝えることが重要です。専門性を活かした発信や、ターゲットに寄り添った導線設計、そして自身の価値観や思考を伝える姿勢が信頼につながります。
独立前からの準備も含めて、戦略的に情報を届けることが、埋もれない弁護士への第一歩となるでしょう。

合同会社楽々Edit 代表 山本 伸弥(やまもと しんや)
新卒でSEOコンサルティング会社に入社し、SEOコンサルタントとして戦略立案から営業、コンテンツ制作まで幅広く従事した後に、合同会社楽々Editを創業し代表取締役に就任。 中小企業から東証プライム企業、ベストベンチャー100まで累計300社以上のSEO改善実績を持つ。 国内大手SEOマーケティング会社10社とデジタルマーケティングカンファレンスも主催している。
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