カスタマージャーニーマップとは?基本・目的にあった作り方を事例をもとに解説

監修者プロフィール

合同会社楽々Edit 代表 取締役
山本 伸弥(やまもと しんや)

BtoBオウンドメディア請負人

新卒でSEOコンサルティング会社に入社し、SEOコンサルタントとして戦略立案から営業、コンテンツ制作まで幅広く従事した後に、合同会社楽々Editを創業し代表取締役に就任。 中小企業から東証プライム企業、ベストベンチャー100まで累計300社以上のSEO改善実績を持つ。

医療分野やクリニック、BtoB領域のグロースに担当している。
BtoBで無形商材、LTV100万円以上の事業のグロースが得意領域。
相談会にてぜひお待ちしております。

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どのようなビジネスであっても、顧客が何を感じ、どんな行動を経て製品やサービスを選択するのかを見極める作業は不可欠です。そこを見落としてしまうと、せっかくの優れた商品であっても真の魅力が伝わらなかったり、他社との違いをうまく示せなかったりするおそれがあります。顧客が検討し始めてから購入、さらには利用後の感想に至るまでのステップを可視化するカスタマージャーニーマップは、顧客心理をより深く理解するための軸となる方法です。


このプロセスを踏まえれば、施策の優先度や各タッチポイントで提供すべき情報などが明確になり、社内外のメンバーが同じ目標を共有しやすくなります。さらに、顧客行動の裏にある動機を把握できるため、改善のヒントを得る上でも効果が大きいです。本記事では、カスタマージャーニーマップの基本から作成手順、具体的な活用のポイントまでを順を追って解説していきます。

山本 伸弥

カスタマージャーニーマップはマーケティングに必要な考え方ですので、ぜひ最後までお読みください。

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カスタマージャーニーマップとは?

カスタマージャーニーマップとは、サービスや商品の利用者がどのような経過をたどって購入や意思決定に至るかを俯瞰するための可視化ツールです。情報収集の段階から手に取るまでの行動や心理だけでなく、購入後の体験や評価までを含め、顧客の全体的な流れを整理することが特徴といえます。


その目的は、顧客が抱える迷いや疑問、期待を理解し、それに対する最適なアプローチを設計することにあるといえます。企業の目線だけで施策を立案するのではなく、利用者の内面まで考慮した上で戦略を立てる手助けになる点で、多くのマーケティング担当者やプロダクト開発チームから注目されています。


自社がどれほど高機能な商品や魅力的なサービスを提供していても、顧客の体験過程がスムーズでなければ成約には結び付きにくいでしょう。そこで、各フェーズで顧客が何に興味を持ち、どのような情報を探しているかを描き出すカスタマージャーニーマップを使うと、施策の優先度が自然に見えてきます。さらに、部門間での足並みを揃えやすくし、顧客視点に立ったサービス改善の土台を固めることが可能になります。

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合同会社楽々Edit 代表 取締役
山本 伸弥(やまもと しんや)

BtoBオウンドメディア請負人

新卒でSEOコンサルティング会社に入社し、SEOコンサルタントとして戦略立案から営業、コンテンツ制作まで幅広く従事した後に、合同会社楽々Editを創業し代表取締役に就任。 中小企業から東証プライム企業、ベストベンチャー100まで累計300社以上のSEO改善実績を持つ。

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カスタマージャーニーマップの必要性

近年、インターネットの普及に伴って顧客が自由に情報を得やすくなった結果、検討する商品やブランドが増え、その過程は複雑化する傾向にあります。そのため、企業側が想定する理想的なプロセスとは異なるルートで購買に至るケースも少なくありません。そこで、顧客が実際にどのような段階を経て興味を持ち、どんな情報源や接点を通じて理解を深めるかを明確化することで、最適なアプローチを見出すのがカスタマージャーニーマップの真価です。


このように可視化された情報を基に、組織内で顧客への理解を統一することができます。開発チームは改善が必要なポイントを把握しやすくなり、営業担当者はより適切なタイミングで効果的な提案ができるようになります。さらに、マーケティング担当者は広告やプロモーションを投下する最適なチャネルを選びやすくなり、短期的な成果だけでなく長期的な顧客満足度の向上へつなげられます。


加えて、顧客の心理状態や課題を細かく確認できるため、情報の不足や混乱が生じている箇所がどこにあるのかを特定しやすくなるのも大きな利点です。対策を打つ際も、顧客の行動パターンに沿ったうえで行うため、実効性の高い施策が立案できるでしょう。

カスタマージャーニーマップを作る目的

カスタマージャーニーマップを作成することには、さまざまな狙いがあります。顧客の頭の中を推察しながら、実際に踏むプロセスを理解することで、必要な情報を適切なタイミングで提供できる仕組みが作りやすくなります。企業として重要なのは、顧客が自ら歩む旅路を正しく捉え、その旅の途中で何を感じ、何に疑問を持つのかを把握して施策に生かすことにあります。


全体像を捉えれば、社内の複数部門が連携しながら顧客満足度を高めるための方向性をそろえやすくなるはずです。さらに、痛点やボトルネックを洗い出すことで、新製品のアイデアを生むうえでも参考にしやすくなります。マーケティングや営業だけでなく、サービス開発やカスタマーサポートの現場でも、顧客理解が深化することで全体的な品質改善に役立ちます。

ユーザーの購買心理と購買行動を予測するため

実際に購入する瞬間まで、顧客の思考は段階的に変化しています。情報収集を始めたばかりの段階では何を基準に比較するかが曖昧なことも多いですが、徐々に比較対象が絞られ、最終的には「これを選ぶ」という決断を下すプロセスに至ります。この流れを事前に想定し、見込み客の心情を予測してどのステップでどんな情報が必要かを把握することは、スムーズな購買体験を提供するうえで欠かせないといえます。


カスタマージャーニーマップを活用すると、顧客がどの段階で迷いや疑問を抱くかを言語化し、それに合わせて情報提供のタイミングを調整できます。具体的なタイミングは可視化されることで、マーケティング施策の効果測定や最適化もしやすくなります。

例えば検索エンジンを使い始める段階で記事コンテンツを用意したり、価格比較を意識する段階でクーポンなどの施策を検討したりといったことが挙げられますが、その組み立てを考えるうえでジャーニーマップが役立つというわけです。
これによって、自社の製品がユーザーの意識にどのように入り、最終的に手に取られるのかを俯瞰できるため、施策の全体設計が一貫性を持ちやすくなります。

施策の優先順位を整理するため

ビジネスを進める中では、投入可能なリソースに限りがあるため、一度にすべての施策を実行するのは難しい場合が多いです。そこで、顧客が接触するタッチポイントの全体像を把握して、現時点で最も効果が見込める施策はどれかを選び出すうえでカスタマージャーニーマップが大いに役立つと考えられます。


たとえば、問い合わせ対応を強化する必要があるのか、SNSでの認知拡大を図るのが先なのか、それとも購入ページのUI改善が緊急なのかは、顧客の行動ステップとその背景を見ながら評価すると判断しやすくなります。顧客が情報を探す段階で戸惑っているなら、その部分を重点的に整えるべきですし、意思決定を後押しできていないなら、口コミや他ユーザーの声が届く仕掛けが必要かもしれません。


このように、必要性が高い部分から順番に手を打つことで、限られたリソースであっても最大限の成果を目指せます。さらに、優先度をはっきりさせてチーム全体に共有することで、無駄な衝突や認識のずれを抑えながら合理的にプロジェクトを進行できるでしょう。

チーム内の共通認識を作るため

複数の部署や担当者が存在する組織では、それぞれが異なる角度から顧客と向き合っていることがよくあります。開発や製造部門は機能性の向上に注目し、マーケティング部門は集客やブランドイメージを重要視し、営業チームは商談の最終場面を重視するなど、視点がばらばらになりがちです。カスタマージャーニーマップによって顧客がどのように商品やサービスと関わっているかを一覧化すれば、部門を超えて同じゴールを目指すための基盤が整いやすくなります。


顧客が求めているものや疑問に感じている点を事前に共有しておけば、無駄な情報発信や新規施策の重複を減らし、スムーズに連携できるでしょう。たとえば、開発チームが顧客の抱える問題点を理解していれば、より的を射た改良を検討しやすくなりますし、サポートチームも顧客の心情を踏まえた丁寧な対応がしやすくなります。


こうした共通認識は、社内だけでなく取引先や協力企業との共同プロジェクトにおいても効果が期待されるため、プロジェクト全体の成果を向上させる原動力にもなるでしょう。

改善点や課題発見するため

事業を続けていると、顧客の不満や離脱がどこで発生しているかが不明確なままになってしまうケースがあります。その場合、具体的な対策を立てづらく、顧客とのコミュニケーションに齟齬が生じる可能性もあります。カスタマージャーニーマップを活用して顧客の行動や感情を段階的に整理すれば、どこで痛点が生じているのかを突き止めやすくなり、実際の改善に向けた根拠を得ることができるのです。


顧客が商品を検討している段階で情報不足を感じているのか、それとも決済画面で使いづらいUIに戸惑っているのか、あるいは購入後のフォローが不十分と感じているのかなど、課題の要因は多岐にわたります。こうした状況を可視化することで、改修の優先順位を定めたり、サービス全体の質を高める取り組みを段階的に進めたりできます。


しかも、課題が明確になるほどチーム全体が的確に動けるようになるため、組織としての学習効果も向上します。成果の大きい施策を繰り返し実行することで、顧客の評価を高め、さらに多くの利用者を引きつけられる好循環が生まれるでしょう。

カスタマージャーニーマップの作り方|基本ステップ

カスタマージャーニーマップを作成するには、あらかじめ顧客についての情報や社内の意見を整理し、段階的にまとめていくのが基本的な流れです。ポイントは、顧客が求めている本質をしっかりと把握し、実際の行動や心理を具体的に描き出すことにあります。初めて作る場合でも、基本ステップを踏めば全体像を把握しやすくなり、取り組むべき優先度の高い課題が自然と浮かび上がってくるはずです。


まずはペルソナ設定に始まり、購買プロセスを定義しながらタッチポイントや感情面を整理していくことで、どのような施策が必要なのか、どこでKPIを設定すれば効果を測定しやすいのかが明確になります。最後に、これらを一つのマップにまとめることで、誰が見ても理解しやすい形で課題やアクションを共有できるようになるでしょう。


以下では、カスタマージャーニーマップの基本的な手順を順を追って紹介します。チームメンバーとのディスカッションを取り入れながら進めると、より実用的で納得感のあるマップが完成しやすくなるのも特長です。

①ペルソナ(ターゲット顧客)の設定

最初のステップでは、自社の商品やサービスを利用する代表的な人物像を定義します。これをあいまいな状態で進めてしまうと、どの顧客を想定しているのか分からず、カスタマージャーニーマップ全体の精度が下がってしまいがちです。性別や年齢、職業といった基本的なプロフィールだけでなく、ライフスタイルや価値観、日常的な行動範囲なども考慮すると、より具体的な顧客像が浮かび上がります。


この段階で大切なのは、ターゲット顧客が何を課題と感じ、どのような欲求を持っているかを可能な限り明確にすることです。企業側の思い込みだけではなく、実際のインタビューやデータを基に作成できると、後のステップでも説得力のあるマップが組み上がります。複数のペルソナを想定する場合でも、はじめは代表的な1〜2種類に絞って作り込むことがおすすめです。


こうして作成したペルソナを踏まえると、具体的に誰に対して施策を行うのかが明確化し、社内外からも納得を得やすくなります。顧客が抱える問題を深く理解することで、マップを作る際の視点が自然と利用者側に寄りやすくなるメリットもあります。

関連記事はこちら:コンテンツマーケティング成功の鍵はペルソナ設定!メリットと設定方法

②購買に至るまでのステップの定義

ペルソナが決まったら、次に購買や契約に至るまでのステップを洗い出します。たとえば「興味を持つ」「情報収集する」「比較検討する」「具体的に問い合わせる」など、大まかな流れを分解することから始めるとスムーズです。この段階の作業によって、顧客が移り変わる過程を順を追って把握するための土台ができあがるといえます。


重要なのは、企業側の理想論だけでステップを定義しないことです。現実には顧客が短い期間で決断を下すケースもあれば、複数の商品を長期にわたって比較し続けるケースも存在します。アンケートやインタビュー結果、過去のアクセス解析データなどを活用しながら、できる限り実態に即したステップを設定していくことがマップの精度を上げる鍵です。


こうして整理したステップは、後から顧客の感情や行動を結びつける際にも役立ちます。どのタイミングで情報を提供すれば効果的なのか、あるいはどのポイントで顧客の関心が途切れてしまうのかなど、具体的な施策を考える指針にもなるでしょう。

③顧客行動の理解・タッチポイントの整理

定義したステップごとに、顧客がどんな行動を取るのかを細かく書き出します。さらに、その行動に影響を与えるタッチポイントを洗い出していく作業が、このフェーズの重要な役割です。顧客が製品を知る入り口がウェブサイトなのか、SNSなのか、それとも店頭のスタッフと会話するのかを把握することで、施策を考える際の基盤が形成されるといえます。


タッチポイントにはオンライン・オフラインを問わず多様な形があります。公式サイト、広告、口コミ、体験イベント、営業担当との面談など、ペルソナがどのような順序で関わっていくのかを時系列で並べると、全体像が見えやすくなるでしょう。ここで無視できないのが、顧客がそれぞれのタッチポイントで感じる利点や不満を具体的に整理することです。


この情報を蓄積しておけば、どこに力を入れれば認知度を高められるか、あるいはどの段階で購入意欲が高まるのかなど、後の施策設計が格段にしやすくなります。部門間のコラボレーションもスムーズになり、顧客体験全体の質を高める取り組みに着手しやすくなるでしょう。

④顧客心理(思考・感情・体験)の理解・整理

顧客行動の整理と並行して、各ステップにおいてどのような心理状態が生じているのかを分析します。たとえば新しい情報を見つけて期待が高まったり、比較検討中に他社との違いが分からず戸惑いを感じたりといった変化が挙げられます。行動だけでなく心の動きも可視化することで、より人間味のあるアプローチができるようになることが、カスタマージャーニーマップの醍醐味といえます。


この過程を経ると、顧客がいつ安心感を欲しがるのか、どんな時に追加情報を必要とするのかといったポイントが明確になってきます。たとえば購買直前には信頼性を裏付ける証拠を求めることが多いとわかれば、顧客の声や実績を強調したコンテンツを配置するなどの戦略が考えやすくなります。


さらに、心理の変化は商品やサービスに対する満足度や口コミ拡散にも大きな影響を与えます。ポジティブな感情が生まれる前に不満があれば離脱に直結するため、そうした危険箇所を事前に察知できる点も大きなメリットです。こうした心理面の掘り下げは、次のステップでKPIを設定する際の重要な材料となるでしょう。

⑤KPIの設定

ある程度の行動ステップと心理状態が見えてきた段階で、どの部分をどのように改善し、どれだけの成果を目指すかを測定するための指標を定めます。闇雲に手を打っても進捗や成功の度合いを判断しづらいため、KPIの設定は必須といえるでしょう。


たとえば、認知度を高める段階ではサイトの訪問数やSNSフォロワー数、比較検討段階では問い合わせ数や商品ページへの滞在時間、購買段階ではコンバージョン率といった具体的な数字を追うかたちで目安を設けることが考えられます。こうした指標を設定することで、実際の施策がどの程度の成果を生んだかが客観的に分かり、次の施策に活かしやすくなります。


さらに、KPIがあると組織内での目標共有が明確になり、それを達成するために必要な予算やリソースが検討しやすくなる利点もあります。達成度の測定と改善サイクルの回転を続ければ、カスタマージャーニーマップをはじめとする顧客理解の手法がより精度を増していき、継続的な成長につながるはずです。

⑥マップ化

最後に、ここまでで洗い出したステップや顧客心理、タッチポイント、KPIなどを一枚のマップにまとめます。視覚的に整理された状態で提示できると、チーム全員が短時間で全体像を理解しやすくなり、施策の方向性や改善点の優先度を議論する際に大いに役立つでしょう。


作成にあたっては、スプレッドシートやプレゼンテーションソフトなどを活用して、縦軸にステップ、横軸にタッチポイントや心理といった形で配置することが一般的です。視覚的に分かりやすい色分けやアイコンを用いれば、複数の要素を並行して把握する手助けにもなります。マップを完成させたら、あくまでもそれがゴールではなく、定期的に更新や検証を行う必要があることに留意しましょう。


特に企業や商品のライフサイクルはもちろん、顧客の価値観や流行も変動します。完成したマップに固執せず、都度見直しながら運用することで、常に顧客中心の視点を維持し、最適なアクションを選び続ける姿勢が大事です。

カスタマージャーニーマップの具体例

実際にカスタマージャーニーマップを作り上げると、ステップごとに顧客がどんな情報源と接点を持ち、どこで躓きそうになるのかが一目で分かるようになります。設定したペルソナが初めて製品を知る段階から興味を抱き、比較を行い、購入・利用を経て継続的に評価をするまでの変遷を時系列で整理すると、顧客が迷うポイントや感情が明確に浮かび上がるでしょう。


ある段階では広告を見て製品を知るが、その後に詳しい情報を探す際に公式サイトと比較サイトを行ったり来たりしていることや、購入検討を深めるために口コミをチェックする場面などがまとめられます。これにより、公式サイトの情報は何が不足しているのか、比較サイトへの流入はどのようにフォローするべきかなどの改善案が具体的に導きやすくなるのが利点です。


さらに、アフターサポートや商品使用後の評価の段階では、再利用意向や継続利用へのモチベーションにも影響を与えるため、そのフェーズで満たすべきニーズや疑問点も見えてきます。マップを活用して社内外の意見をまとめながら、顧客にとって快適な体験を作り上げる一助とすると良いでしょう。

カスタマージャーニーマップ作成時の注意すべき点

カスタマージャーニーマップを活用することで、顧客行動を的確に捉えた戦略を立案しやすくなりますが、作成段階でいくつか意識しておきたい点があります。これらを見落としてしまうと、せっかく作ったマップが現場で活かされず、単なる資料で終わってしまう可能性が高いです。


特に注意したいのは、ターゲットとなる顧客のニーズ分析が曖昧なままマップを作り込まないことや、過剰に細部へ踏み込みすぎて扱いづらいドキュメントにならないようにすることなどが挙げられます。また、目標を定めるうえでKPIを設定しないと、次に打つ手を判断しづらくなるのも注意点の一つです。これらを踏まえながら作成すれば、より実践的な施策の元となる資料を作り上げられるでしょう。

ターゲット設定上のニーズや課題を分析する

ペルソナを決める際、表面的な情報だけでまとめてしまうとカスタマージャーニーマップ全体がピンボケになる傾向があります。年齢層や職業などの基本情報に加え、その顧客層がどのような場面で困りごとを感じ、何を欲しているかを正確に分析することが、マップの有用性を左右するポイントといえます。


もし、ターゲットのニーズを具体的に把握できていないなら、アンケートやインタビュー、ユーザーテストなどの定性・定量データを収集してからマップ作成に臨む方が効果的でしょう。そうすることで、実際の利用者の声に基づいた視点が得られ、改善点の優先度も一気に明確になります。


また、企業側の思い込みで「こういう悩みを持っているだろう」と勝手に決め付けないようにする工夫も必要です。顧客は多様な価値観や利用シーンを持っているため、複数の視点を取り入れながら、ターゲットの真の課題や欲求を捉えていく姿勢が大切です。

詳細まで作りすぎない

カスタマージャーニーマップを作成する際に、あまりにも細かい要素まで一括して盛り込みすぎると、ドキュメントが見づらくなる上、使いこなせなくなる可能性が高まります。本来の目的は顧客の主要な行動や心理を捉え、施策に生かすことにあるため、最初から細部を詰め込みすぎるのは逆効果になりがちです。


顧客の行動ステップや心理は確かに多様で、各フェーズにおけるタッチポイントも無数にあるかもしれません。しかし、あまりに要素を増やしすぎると、どこが一番重要なのか判断しづらい資料になってしまいます。まずは大枠を定義して、特に重要なステップやタッチポイントにフォーカスを当てる形で始めるのがおすすめです。


必要に応じて、段階を踏みながら細かい部分を追記したり、別のマップを分岐して作成するなど、運用しやすい形を模索するほうが実用性が高いでしょう。常に最終的な利用場面を意識し、メンバーが「見て理解し、行動を起こしやすいか」を優先することが成功のポイントです。

KPIを必ず設定する

カスタマージャーニーマップを使って顧客行動を可視化しても、何をどのように改善すればいいかの判断基準が曖昧なままでは、有効な施策につなげにくいです。そこで欠かせないのが、各フェーズやタッチポイントにおいて測定可能な指標を設定し、進捗と成果を追いかける仕組みを整えることです。


KPIの設定がないと、せっかく課題を見つけても、どのくらい対策がうまくいっているのかを客観的に把握できないため、チームが同じ方向を向いて活動を続けるのが難しくなる恐れがあります。たとえば、初期段階での認知度向上を目指すならサイトの訪問数や広告のクリック率を追う、比較検討のフェーズでは問い合わせや資料ダウンロード数を見守るといった形で、各段階に合った指標を設定することが大切です。


KPIは最初から完璧に決める必要はなく、運用しながらブラッシュアップしていく方法でも問題ありません。明確な数字を掲げることによって、やるべきことがクリアになり、施策のPDCAサイクルを高速で回しやすくなるでしょう。

関連記事はこちら:Webマーケティングとは?概要からメリット・デメリットまで解説

まとめ

カスタマージャーニーマップは、顧客がどのような経過をたどって商品やサービスの購買・利用に至るのかを深く理解するための有効なフレームワークです。顧客の行動と心理を時系列に沿って整理することで、どの段階でどんな情報が必要なのか、何が決断の妨げになっているのかが一目で分かり、的確な施策を優先的に行う道筋が見えてくるでしょう。


作成にあたっては、ペルソナの設定や購買ステップの定義、タッチポイントの整理、そして心理面の考察などを段階的に行い、最後にKPIを設定して全体をマップ化するのが基本的な流れです。また、ターゲットのニーズを明確にすることや、あまり細部にこだわりすぎないこと、さらにKPIを忘れずに定めることが成功のカギとなります。


顧客の行動プロセスを正しくとらえていれば、商品開発からマーケティング施策、サポート体制の強化まで、さまざまな場面で連携が取りやすくなるのも大きな魅力です。常に顧客目線を軸にしながらマップを定期的に更新し、情報をアップデートしていくことで、継続的な顧客満足度の向上とビジネス成果の最大化につなげられるはずです。

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