オウンドメディアをマネタイズする方法とは?注目のビジネスモデル5選
収益を効率化したい企業が取り入れているオウンドメディア。企業のマーケティング担当者のなかには、「目的はわかるけど、マネタイズに適したビジネスモデルなの?」といった疑問をもっている方も多いのではないでしょうか?事実、オウンドメディアの設立が、瞬間的に収益を増大してくれるわけではありません。今回は、メディアによる収益化を狙う企業や企業に務めるビジネスパーソンに向けて、オウンドメディアを活用したビジネスモデルについてわかりやすく解説していきます。マーケティング担当者でなくても、正しい知識を身につけることで生産性を高められるでしょう。
オウンドメディアに注目が集まる理由とは?
多くの企業がオウンドメディアに注目する理由は、「ズバリ時代にあった施策である」ためです。言わずもがなではありますが、ウェブビジネスが一般化し、ユーザーは「欲しいものをすぐに手に入れられるようになった」とされています。そして、欲求を満たされたユーザーが次に求めるようになったのが、企業の唯一性やメッセージ性であり、オウンドメディアでの発信がニーズにマッチしているのです。
また、企業目線では、「さまざまなビジネスモデルにマッチする手法である」ことも、オウンドメディアに注目が集まっている理由です。具体的なビジネスモデルの形については後ほど触れますが、オウンドメディアへの集客の安定によって、幅広い仕掛けを用いることが可能になります。
ただし、オウンドメディアは瞬間的なマネタイズに適したツールではありません。そのため、これからメディアの構築を検討している方は、第一に「オウンドメディアが新たな収益をもたらしてくれる」といった考えを捨てることをおすすめします。
また、マーケティング担当者をはじめとしたビジネスパーソンは、メディアに次のような違いや狙いがあることを把握しておきましょう。
- アーンドメディア(Earned Media):顧客のSNSやメディア掲載によって、評判を得ることを目的としたメディア。信頼を得やすい、内容の管理を行えないといった特徴がある。メディアの中でも、他者が運営するメディアへ掲載するタイプのメディア
- ペイドメディア(Paid Media):出稿料を投じて、他メディアへのコンテンツの投稿をするメディア。バナー広告や検索広告、SNS広告などの広告が中心とされ、タイアップなども含まれる
- オウンドメディア(Owned Media):ホームページや雑誌を含めた自社で保有するすべてのメディアの総称。オンラインマーケティングが中心となった昨今では、ブログなどのコンテンツが中心となり、情報発信に活用されている。
「同じメディアにも数多くの種類があり、それぞれにことなる用い方をされる」ということを理解しているだけで、企業や組織の戦略をいち早く理解できるでしょう。
オウンドメディアをマネタイズするの5つのビジネスモデル
ここからはオウンドメディアをマネタイズする、5つのビジネスモデルを紹介していきます。実績のあるビジネスモデルを把握しておくことで、オウンドメディアを立ち上げる理由を明確なものにできるでしょう。
ビジネスモデル1、自社製品やサービスを販売する
オウンドメディアを用いた1つ目のビジネスモデルが、自社製品やサービスを販売するというものです。現実世界に例えれば、メーカーが店舗を構え、エンドユーザーに提案や販売をするイメージとなります。
オウンドメディアであれば、効率的なペルソナが求めるニーズの提供が可能です。若者向けの美容アイテムを提供する場合であれば、「コストパフォーマンスを高める方法」といったノウハウを訴求することで、広告感のない訴求を行えます。
ビジネスモデル2、企業の収益化に結びつける
ウェブを使ったビジネスに活用されるオウンドメディアですが、企業の集英化に結びつけている企業も少なくありません。企業によって目的はさまざまですが、大きく分けると次の3つの施策に分類されます。
- 企業認知の向上:SEO対策による自然流入によって、企業認知の向上を促進する施策。Googleなどの検索エンジンの分析や、SNSによる拡散が期待でき、コストパフォーマンスの高い広告が見込める
- 問い合わせ数の増加:顧客の疑問解消にオウンドメディアを活用する施策。一から十まで提案するスタイルではなく、ユーザーが情報を集め、疑問解消にオウンドメディアを使うことで、信頼関係の構築に役立つ。素早い対応やわかりやすい回答によって、ファンの拡大に寄与するなどのメリットがある
- 見込み客を獲得する:顧客からのアクションを見込み客の増やす施策。アンケートなどのアナログな手法とは違い、オウンドメディアでは顧客情報を集めることもでき、マーケティングに利用することもできる。氏名やメールアドレス、問い合わせの時期やきっかけなどの情報を収集することで、効率的なマネタイズが可能
ビジネスモデル3、広告枠を販売する
オウンドメディアのPV数が安定すれば、メディア内の広告枠の販売による収益化も可能です。雑誌などの媒体では、広告の販売を行う企業へ依頼することが一般的です。しかし、ウェブを使ったメディアでは、SSPなどの広告枠管理ツールを使うことで、手軽に広告枠の販売を行えます。
最低落札額は手掛ける製品やサービスによって異なりますが、PV数の大きいメディアを構築することで、安定した収益を見込めます。
ビジネスモデル4、アドセンス広告を利用する
オウンドメディアが一般化した昨今では、アドセンス広告によるマネタイズに成功している企業も少なくありません。数ある広告のなかでも、Googleが提供するアドセンス広告はクリック課金型であり、出稿にお金をかけずに済む点が大きな魅力です。
ただし利用する前に、審査がある点には注意が必要です。手軽に出稿者を集えるメリットがある一方で、アドセンス広告の提供者が求める基準をクリアする手間がかかることも把握しておきましょう。
ビジネスモデル5:イベントやセミナーへの誘致に活用する
企業やブランドの特徴を伝えられるオウンドメディアであれば、有料のイベントやセミナーの誘致に活用することも可能です。会社がもっている専門的な知識を得たいユーザーへ、お金をかける意味を伝えることで、しっかりとしたマネタイズを行えるでしょう。
ただし、セミナーを開催するためには、しっかりとしたノウハウがあるかどうか、講演を依頼する予算を用意できるかを、事前に確認しておく必要があります。提供できる価値と参加費のバランスと、オウンドメディアの魅力が直結しない点には注意が必要です。
オウンドメディアのビジネスモデル化によるメリットとデメリット
これまでに触れてきたように、オウンドメディアは直接的に収益化できるツールではありません。では、なぜ多くの企業が、マネタイズに繋がらないメディアを設けるのでしょうか?ここからは、オウンドメディアがビジネスモデルに必要とされる理由を解説していきます。
メリット1、企業の理念を訴求できる
オウンドメディアのビジネスモデル化による1つ目のメリットが、企業の理念を訴求できるというものです。インターネットの普及により、利便性よりも企業を好みで選ぶユーザーが増加しています。
そんな時代の変化が、オウンドメディアで企業の理念を訴求する企業の増加に結びついているのです。誰もが同じ製品を扱える昨今では、企業が事業に取り組む理由や果たすべきビジョンといったソフトな面が、ユーザーの心を掴むケースも少なくありません。
メリット2、コンテンツをストックできる
コンテンツをストックできる点も、オウンドメディアのビジネスモデル化によるメリットの1つです。これまでに触れてきたように、ペイドメディアやアーンドメディアとオウンドメディアの違いは、情報が一時的であるかどうかです。
ペイドメディアやアーンドメディアが、キャンペーンなどの時期に合わせた訴求に向いています。その一方で、オウンドメディアは一度作成したコンテンツがストックされるため、ユーザーの好きなタイミングで過去の記事を読み返すことができます。オウンドメディアには、ユーザーに利便性という付加価値を提供できるというメリットもあるのです。
メリット3、LTVを高められる
オウンドメディアのビジネスモデル化によって、ユーザーのLTVを高めることも可能です。LTVとは、Life Time Value(ライフ タイム バリュー)の略であり、一人のユーザーの生涯に寄与する価値と訳されるマーケティング用語です。また、ユーザーの生涯に寄与する価値が、企業のキャッシュフローに直結しているため、多くの企業がLTVに注目しています。
昨今のマーケティングにおいては、企業は事業に取り組む理由や果たすべきビジョンといったソフトな面に注力すべきと考えられています。オウンドメディアを使うことでファンを獲得し、LTVを高めることが収益構造に繋がっているのです。
デメリット1、コストパフォーマンス(即効性)が低いことがある
これまでに触れてきたように、メディアのビジネスモデル化には数多くのメリットがあります。ただし、コストパフォーマンスが悪いというデメリットがあることも把握しておきましょう。
オウンドメディアは、一時的なプロモーションに利用されるペイドメディアやアーンドメディアとは違い、コンテンツのクオリティを高く保つ必要があります。自分に必要な記事を選択できる一方で、ストックする記事の質が高いことでユーザー離れにつながることも把握しておきましょう。ペイドメディアやアーンドメディアほど即効性がないことを理解した上で、コンテンツの準備に取り掛かる必要があるのです。
デメリット2、イメージを変えにくい
一度作られたイメージを変えにくいことも、オウンドメディアのビジネスモデル化によるデメリットの1つです。先ほども触れたように、ペイドメディアやアーンドメディアは、キャンペーンなどの短期間の訴求に向いています。その一方で、オウンドメディアは長く存在し続ける特性があるため、一度作られたイメージを塗り替えるには相当の労力が必要です。
また、営業などの部署とマーケティング部の連携不足によって、異なるイメージを与えてしまうリスクにも注意が必要です。営業ごとにメッセージの伝え方が異なりますが、顧客がオウンドメディアをチェックすることで、混乱を生じさせないような工夫も講じておきましょう。
オウンドメディアを使ったビジネスモデルを構築する時のポイント
最後に、オウンドメディアを使ったビジネスモデルを構築する際の注意点を解説していきます。「目的を明確にする」、「メディアの特性を理解する」、「メリットとデメリットを正しく把握する」という2点を抑えることで、スムーズにビジネスモデルを構築できるでしょう。
ポイント1:目的を明確にすることから始める
オウンドメディアを使ったビジネスモデルを構築する際は、その目的を明確にすることから始めていきましょう。これからメディアを立ち上げる場合は、「収益を多角化できる」という目的以外の取り入れるべき理由が必要です。
これまでに解説してきたように、オウンドメディアは収益に直結するわけでも、すぐに拡散されるものでもありません。経営全体に目を向け、自社の特徴を分析、オウンドメディアという手段が適しているといえる理由を明確にすることが重要です。
ポイント2、オウンドメディアの特性を活かす
オウンドメディアの特性を活かすことも、効率的なビジネスモデルを構築するポイントです。具体的には「オウンドメディアをブランディングに活用し、拡散にはペイドメディアを使う」といった使い分けをすることで、それぞれのメディアの特性を上手に活用できるでしょう。
まとめ
「収益の多角化に活用できる」といったメリットから、多くの企業がオウンドメディアの立ち上げに取り組んでいます。オウンドメディアでのマネタイズに成功している企業は、誘致から自社製品の販売、メディア内の広告枠の販売、セミナーの開催といったビジネスモデルを上手に構築しています。
その一方でオウンドメディアの特性がわかりにくく、コストパフォーマンスが低いといったデメリットばかりが目立っているケースも少なくありません。これからオウンドメディアでのマネタイズ化を目指す方は、事業とメディアの特性がマッチするビジネスモデルの構築を目指しましょう。