「検索順位は変わっていないのに、検索からのアクセスが減っている」「AIによる概要が表示されるようになってから、記事がクリックされなくなった気がする」と感じている担当者は少なくありません。その背景にあるのが、検索結果の画面だけで疑問が解決し、どのサイトもクリックされずに検索が終わる「ゼロクリック検索」です。
一方で、ゼロクリック検索が増えたからといって、SEOが意味を失ったわけではありません。影響を受けやすい検索と受けにくい検索を見極め、評価の方法と施策の重点を変えることで、検索から成果を生み出し続けることは十分に可能です。
本記事では、ゼロクリック検索の意味と起きる場面、増えている理由、SEOへの影響、影響を確認する方法、今からできる対策、成果を測る指標の見直し方までを順番に解説します。検索からの流入の減少に悩んでいる方は、対策を考える材料として活用してください。
| 確認したいポイント | 結論 | 詳細 |
|---|---|---|
| ゼロクリック検索とは何? | 検索結果だけで疑問が解決しクリックされない現象 | AIによる概要や強調スニペット、ナレッジパネルなどで答えが表示されることで起こります。 |
| SEOにどんな影響がある? | 上位でもクリックが減りやすくなる | 特に「〇〇とは」などの情報収集型キーワードで影響が大きく、PVだけでは成果を測れなくなります。 |
| どんな対策をすればよい? | AIに引用される情報と一次情報を増やす | クリックする理由を用意し、指名検索を増やし、検索以外の集客経路も育てることが大切です。 |
ゼロクリック検索とは?検索結果だけで疑問が解決する現象
ゼロクリック検索とは、ユーザーが検索した後、検索結果に表示されたどのサイトもクリックせずに検索を終えることです。検索結果の画面に答えが表示されるため、サイトを訪れなくても目的を達成できることで起こります。
ここでは、ゼロクリック検索が起きる主な場面と、混同されやすいAIによる概要との関係を整理します。
ゼロクリック検索が起きる主な場面
ゼロクリック検索は、検索結果の画面に答えを直接表示するさまざまな機能によって起こります。代表的なのが、検索結果の上部にAIが作成した回答を表示する「AIによる概要」と、ページの一部を抜き出して答えとして表示する「強調スニペット」です。
人物や企業、場所などを検索したときに右側などに表示される「ナレッジパネル」や、天気、計算、為替、スポーツの結果などを即座に表示する機能も、ゼロクリック検索を生みます。店舗を探す検索では、地図と店舗情報が表示され、電話やルート案内まで検索結果の中で完結することもあります。
「関連する質問」の枠では、質問をクリックすると答えがその場で開くため、サイトを訪れなくても複数の疑問を解決できます。このように、検索結果の画面そのものが情報を提供する場所に変わってきています。
これらの機能は、検索した人にとっては便利な一方で、情報を提供しているサイトの側から見ると、ページを訪れてもらう機会が減ることを意味します。ゼロクリック検索は、利便性の向上と引き換えに生まれた現象だといえます。
ゼロクリック検索とAIによる概要の関係
ゼロクリック検索とAIによる概要は、同じ意味の言葉ではありません。ゼロクリック検索は「クリックされずに検索が終わる」という現象を指し、AIによる概要はその現象を生む機能の1つです。
ゼロクリック検索は、AIによる概要が登場する以前から、強調スニペットやナレッジパネルによって起きていました。AIによる概要の普及によって、ゼロクリック検索が起きる範囲がさらに広がったと捉えると理解しやすくなります。
ChatGPTなどの生成AIに直接質問して情報を集める人も増えています。こうした行動は、検索エンジンを使わずに疑問を解決するという意味で、ゼロクリック検索と同じように、サイトへの訪問が減る原因の1つになっています。
ゼロクリック検索が増えている理由
ゼロクリック検索は、検索エンジンの進化とユーザーの行動の変化が重なって増えています。一時的な流行ではなく、検索のあり方そのものの構造的な変化として捉えることが大切です。
AIによる概要やAIモードの普及
Googleの検索結果では、AIが複数の情報源をもとに作成した回答を表示する「AIによる概要」が広く提供されています。AIと対話しながら情報を探せる「AIモード」も登場し、検索結果の画面で答えを得る機会が大きく増えました。
米国の調査機関Pew Research Centerが2025年に公表した調査では、AIによる概要が表示された検索で通常の検索結果のリンクがクリックされた割合は8%で、表示されなかった検索の15%を下回ったと報告されています。AIによる回答で疑問が解決すると、ユーザーがサイトを訪れる理由は少なくなります。
AIによる概要は、特に「〇〇とは」のような意味や定義を尋ねる検索で表示されやすい傾向があります。用語の解説を中心にした記事は、こうした変化の影響を最も受けやすい種類のコンテンツです。
検索結果に表示される情報の充実
AIによる概要以外にも、検索結果の画面に表示される情報は年々増えています。画像や動画、地図、商品の一覧、関連する質問など、さまざまな形式の情報が、通常の検索結果の上や間に並ぶようになりました。
そのため、自社のページが上位に表示されていても、画面の下のほうに押し下げられ、目に留まりにくくなることがあります。順位が変わっていなくてもクリック率が下がるのは、検索結果の画面の構成が変わっているためです。
特にスマートフォンでは、画面の大きさが限られているため、AIによる概要や広告が表示されると、通常の検索結果が最初の画面に表示されないこともあります。パソコンとスマートフォンでクリック率に差がある場合は、こうした表示の違いが影響している可能性があります。
素早く答えを得たいユーザーの増加
スマートフォンで検索する人が増え、移動中や作業の合間に短時間で答えを得たいというニーズが強まっています。小さな画面で複数のサイトを開いて読み比べるよりも、検索結果の画面で要点を確認できるほうが便利だと感じる人は多いでしょう。
米国のSparkToroが2024年に公表した調査では、Google検索の約6割がサイトをクリックせずに終わっていると報告されています。調査の方法によって数値は異なりますが、検索の多くがクリックされずに終わっているという傾向は、さまざまな調査で共通しています。
日本でも、AIによる概要の表示が広がり、生成AIを検索の手段として使う人が増えていると報告されています。海外だけの話ではなく、日本のサイト運営者にとっても向き合うべき変化になっています。
ゼロクリック検索がSEOに与える影響
ゼロクリック検索の増加は、検索からの流入数やSEOの成果の測り方に影響を与えます。ただし、影響の大きさは検索の種類によって大きく異なるため、自社のサイトにとってどの程度の影響があるのかを正しく見極めることが大切です。
上位に表示されてもクリックが減る
ゼロクリック検索の最も大きな影響は、検索順位が高くてもクリックされにくくなることです。AIによる概要や強調スニペットで答えが表示されると、ユーザーはその時点で満足し、通常の検索結果までたどり着かないことがあります。
これまでと同じ順位を維持していても、アクセス数が減るという現象が起こりやすくなっています。順位だけを見ていると、流入が減った原因を見誤るおそれがあるため、クリック数やクリック率もあわせて確認することが大切です。
クリックされなかったとしても、検索結果やAIの回答に自社の名前やページが表示されていれば、ユーザーとの接点は生まれています。検索結果での露出そのものに価値があると捉え直すことも、ゼロクリック検索の時代には必要な考え方です。
情報収集型のキーワードほど影響を受けやすい
影響を受けやすいのは、「〇〇とは」「〇〇 意味」のように、短い答えで疑問が解決する情報収集型のキーワードです。用語の意味や簡単な手順、数値などは、AIによる概要で要点が示されると、サイトを訪れる必要がなくなります。
一方で、サービスの比較や依頼先の検討、具体的な見積もりなど、判断や行動につながるキーワードは、詳しい情報や信頼できる相手を求めてサイトを訪れる人が多く、影響は比較的小さい傾向があります。自社の成果につながるキーワードがどちらに当てはまるのかを見極めることが、対策の第一歩です。
情報収集型のキーワードで集めた流入は、もともと問い合わせにつながりにくいことも少なくありません。流入数が減ったとしても、成果への影響は限定的な場合があるため、キーワードごとの成果への貢献度もあわせて確認しましょう。
ページビューだけでは成果を測れなくなる
ゼロクリック検索が増えると、検索結果の画面でユーザーと接点を持ちながら、サイトへの訪問には至らないケースが増えます。そのため、ページビューやセッション数だけでSEOの成果を判断すると、実態よりも低く評価してしまうおそれがあります。
反対に、ページビューが減っていても、問い合わせや資料請求の数が維持されていることもあります。サイトを訪れる人の数が減っても、訪れる人の目的意識はより明確になっていると考えられるためです。成果を正しく評価するためには、指標の見直しが欠かせません。
Googleも、AIによる概要が表示された検索結果からのクリックは、ユーザーがサイトに長く滞在する傾向があり、質の高い訪問になりやすいと説明しています。訪問数の増減だけでなく、訪問の質にも目を向けましょう。
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ゼロクリック検索の影響を確認する方法
アクセスが減ったからといって、その原因がゼロクリック検索だとは限りません。順位の下落や検索の需要の減少など、他の原因と切り分けたうえで、ゼロクリック検索の影響を見極めることが大切です。
表示回数とクリック数の変化を比べる
Google Search Consoleの「検索パフォーマンス」で、比較したい2つの期間の表示回数とクリック数を並べて確認しましょう。前年の同じ時期と比べると、季節による変動の影響を受けにくくなります。
表示回数がほとんど変わらないのにクリック数だけが減っている場合は、ゼロクリック検索の影響を受けている可能性があります。表示回数そのものが減っている場合は、検索の需要が減っているか、順位が下がっている可能性を先に疑いましょう。
平均掲載順位の変化を確認する
クリック数が減ったキーワードについて、平均掲載順位が変わっていないかを確認します。順位が下がっていれば、クリック数の減少は順位の下落による可能性が高いため、まずは順位の回復に向けた改善が必要です。
順位が変わらないのにクリック率だけが下がっている場合は、検索結果の画面の変化を疑いましょう。実際にそのキーワードで検索し、AIによる概要や強調スニペットが表示されていないかを確認すると、原因を把握しやすくなります。
パソコンとスマートフォンに分けて確認することも有効です。どちらか一方の端末でだけクリック率が大きく下がっている場合は、その端末での検索結果の表示の変化が影響している可能性があります。
影響を受けたページとキーワードを特定する
確認の結果をもとに、ゼロクリック検索の影響を受けているページとキーワードを一覧にしましょう。すべてのページに対策を行うのではなく、問い合わせや売上につながる重要なページから優先して対応することが大切です。
なお、AIによる概要やAIモードを経由した流入は、Search Consoleの通常の検索パフォーマンスに含まれて集計されます。Google検索セントラルの「AI 機能とウェブサイト」でも、こうした流入は検索タイプ「ウェブ」のレポートに反映されると説明されています。
AI経由の流入だけを分けて確認することはできないため、複数の指標から影響を推測する必要があります。
ゼロクリック検索への対策
ゼロクリック検索への対策は、「検索結果の画面で選ばれること」と「クリックする理由を作ること」の2つの方向から考えます。検索結果の中での接点と、サイトを訪れた後の成果の両方を意識することが大切です。ここでは、今から取り組める6つの対策を紹介します。
AIによる概要に引用される情報を作る
AIによる概要には、回答の根拠として参照したページへのリンクが表示されます。ゼロクリック検索の時代には、AIの回答の中で自社のページが引用されることが、新たな接点になります。
Googleは、AIによる概要に表示されるために特別な最適化は必要なく、インデックスに登録され、検索結果にスニペットが表示される状態であればよいとしています。見出しの直後に結論を書き、質問に対する答えを分かりやすく示すなど、SEOの基本に沿ったページ作りが引用される近道です。AIに引用されるための考え方は「AIO対策とは?」で詳しく解説しています。
一次情報や独自の情報を増やす
AIによる概要で要約できるのは、Web上に広く存在する一般的な情報です。自社が独自に行った調査のデータや、実際の支援事例、現場での経験にもとづく知見などは、要約では伝えきれず、AIにも代替されにくい情報です。
「このサイトでしか得られない情報がある」と感じてもらえれば、ユーザーは要約を読んだ後でもサイトを訪れます。一次情報は、AIが回答を作る際の参照元として選ばれやすくなる効果も期待できます。
大がかりな調査でなくても、自社の顧客へのアンケートや、問い合わせの傾向の分析、担当者の経験談など、一次情報の素材は身近にあります。日々の業務で得られる知見を記事に盛り込むことから始めてみましょう。
クリックしたくなる理由をページに用意する
検索結果の画面だけでは得られない情報を用意し、タイトルや説明文でその存在を伝えましょう。具体的な比較表や手順の詳細、事例、チェックリスト、無料で使えるテンプレートなどは、要約を読んだだけでは完結しない情報です。
「〇〇とは」の答えだけで終わる記事ではなく、答えの先にある判断や行動まで支援する内容にすることがポイントです。タイトルと説明文で、記事を読むことで得られる具体的な価値を伝えましょう。検索結果でのクリック率の改善方法は「SEO対策におけるクリック率(CTR)とは?」も参考になります。
E-E-A-Tを高めて信頼される情報源になる
AIによる概要が参照する情報源にも、信頼できるかどうかが問われます。誰が、どのような経験や専門性にもとづいて発信しているのかを明確にすることで、ユーザーにも検索エンジンにも信頼される情報源になれます。
著者のプロフィールや運営会社の情報を明記し、根拠となる出典を示し、情報を定期的に更新することが基本です。信頼できる情報源として認められれば、AIの回答で引用される機会も増えていきます。
指名検索を増やして直接選ばれる存在になる
ゼロクリック検索で自社の名前が検索結果やAIの回答に表示されると、ユーザーの記憶に残り、後から会社名やサービス名で直接検索してもらえることがあります。会社名やサービス名で検索する指名検索は、ゼロクリック検索の影響を受けにくい検索です。
ゼロクリック検索を「流入を奪われる場」ではなく「名前を覚えてもらう最初の接点」と捉えることが大切です。指名検索を増やす具体的な施策は「指名検索を増やす方法」で紹介しています。
検索以外の集客経路を育てる
検索からの流入だけに頼っていると、検索結果の仕様が変わるたびに大きな影響を受けます。SNSやメールマガジン、動画、広告など、検索以外の集客経路を育てておくことで、影響を分散できます。
メールマガジンやLINE公式アカウントのように、自社で管理できる顧客との接点を持っておくことも重要です。一度接点を持ったユーザーに直接情報を届けられれば、検索の変化に左右されにくい集客の基盤になります。
記事を読んでくれたユーザーに、メールマガジンへの登録や資料のダウンロードを案内するなど、サイトを訪れた機会を次の接点につなげる工夫も大切です。訪問数が減る時代だからこそ、1回の訪問の価値を高める意識を持ちましょう。
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ゼロクリック検索の時代に見直すべき成果の指標
ゼロクリック検索が増えると、これまでの指標だけではSEOの成果を正しく評価できなくなります。サイトへの訪問数だけでなく、事業の成果やブランドへの影響を含めて評価することが大切です。
評価の指標を見直す際は、社内の関係者とも認識をそろえておきましょう。アクセス数の減少だけを見て「SEOの効果が落ちた」と判断されないよう、成果に近い指標を報告の中心に置くことが大切です。
コンバージョン数とコンバージョン率を重視する
SEOの最終的な目的は、問い合わせや資料請求、購入などの成果を生み出すことです。ゼロクリック検索の時代には、ページビューよりも、コンバージョン数やコンバージョン率を重視して成果を評価しましょう。
アクセスが減っても、成果につながる訪問が維持されていれば、SEOの価値は失われていません。コンバージョンにつながっているページを把握し、そのページへの導線や内容を改善することが、限られた訪問を成果に変える鍵です。具体的な改善策は「コンバージョン改善の施策12選」で解説しています。
指名検索の数やAIでの言及を確認する
Search Consoleで、会社名やサービス名を含むキーワードの表示回数とクリック数の推移を確認しましょう。指名検索が増えていれば、検索結果やAIの回答での露出が、認知の拡大につながっていると判断できます。
生成AIに自社の業界やサービスについて質問し、回答の中で自社がどのように紹介されているかを確認することも有効です。AIの回答での見え方は質問の仕方によって変わるため、同じ質問を何度か試して傾向をつかむとよいでしょう。AI検索での見え方を確認する方法は「LLMO診断とは?」で紹介しています。
ゼロクリック検索の時代もSEOの基本は変わらない
AIによる概要が参照するのも、クロールされ、インデックスに登録されたWebページです。検索した人の役に立つ質の高いコンテンツを作り、検索エンジンに正しく理解してもらうというSEOの基本は、ゼロクリック検索の時代でも変わりません。
変わったのは、成果の測り方と、検索結果の中での接点の持ち方です。これまでのSEOの基本を土台に、AIに引用されることや指名検索を増やすことを意識した施策を組み合わせていきましょう。AI時代のSEOの全体像は「AI時代のSEO対策とは?」で詳しく紹介しています。
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まとめ
ゼロクリック検索とは、検索結果の画面だけで疑問が解決し、どのサイトもクリックされずに検索が終わる現象です。AIによる概要の普及や検索結果の情報の充実によって増えており、特に情報収集型のキーワードでは、順位が高くてもクリックが減りやすくなっています。
ゼロクリック検索の時代に成果を出すためには、影響を正しく見極めたうえで、AIに引用される情報や一次情報を増やし、クリックする理由と指名検索を生み出すことが欠かせません。ページビューだけでなく、コンバージョンや指名検索の推移など、成果に近い指標で評価しましょう。
まずはSearch Consoleで、表示回数が変わらずクリック数だけが減っているキーワードがないかを確認するところから始めてみてください。対策の方向性に迷う場合は、専門家の視点を取り入れることで、ゼロクリック検索の時代にも検索から成果を生み出せます。