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BtoBオウンドメディアの成功事例8選|成果を出す共通点と運用のポイントを解説

自社でもオウンドメディアを始めたいが、何を目指せばよいのか分からない。すでに運営しているものの、成果につながっている実感がない。こうした段階で参考になるのが、先行して成果を上げている企業の事例です。

ただし、事例を眺めるだけでは自社の施策は前に進みません。重要なのは、そのメディアが何を目的に、どんなテーマを選び、どう導線を設計したのかという構造を読み取ることです。表面的な体裁を真似ても結果は再現されません。

本記事では、BtoB企業のオウンドメディア事例8社を目的別に紹介し、成果を上げているメディアに共通する5つのポイントを整理します。自社に置き換える手順、成果が出ない原因、事例を見るときの注意点まで扱います。

確認したいポイント結論詳細
なぜBtoBで有効なの?検討期間の長さと相性が良い購買までに数か月かかるBtoBでは、情報収集段階から接点を持てる点が強みになります。
どんな成功事例がある?SaaSや支援会社の運営例が中心会計、名刺管理、セキュリティなど領域を絞ったメディアが成果を上げています。
事例の共通点は?専門性と導線設計の2点テーマを絞って専門性を確立し、検討段階に応じた出口を用意している点が共通します。
テーマはどう決める?自社商材の隣接領域に絞る広げすぎると専門性が薄まり、狭すぎると検索需要が足りなくなります。
自社に活かす手順は?目的の設定から順に進めるKGIを決め、参考事例を選び、テーマを絞り、制作体制を組む流れで着手します。
体制はどう組む?工程ごとに役割を分ける企画から編集までを一人で担うと破綻します。外注との分担も検討します。
成果が出ない原因は?テーマと導線のずれが大半商材から離れたテーマ選定や、全記事一律のCTA設定が成果を止めています。
事例を見るときの注意は?公開数値をそのまま追わない立ち上げ時期や投下リソースが異なるため、条件を揃えずに比較すると判断を誤ります。
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BtoB企業がオウンドメディアに取り組む理由

事例を読み解く前に、BtoB領域でこの施策が選ばれている背景を押さえておきます。理由を理解しておくことで、事例のどこに注目すべきかが変わります。3つの観点で整理します。

検討期間の長さと相性が良い

BtoBの購買は、検討開始から発注まで数か月から1年以上を要します。この長い期間のあいだ、担当者は継続的に情報を集めており、その接点をすべて広告でまかなうのは現実的ではありません。記事は公開後も検索経由で読まれ続けるため、期間の長さがそのまま強みになります。

企業間取引そのもののデジタル化も進んでいます。経済産業省の電子商取引に関する市場調査によると、2024年の国内BtoB-EC市場規模は514兆円を超え、EC化率は43.1%に達しています。取引の入口がオンラインに移るほど、Web上での情報発信が持つ意味は大きくなります。

潜在層から検討層まで接点を作れる

課題を感じ始めた段階の担当者は、サービス名では検索しません。業務上の困りごとをそのまま検索する層に届けられる点が、オウンドメディアの中心的な価値です。テレアポや展示会では接触できない、購買プロセスの最上流に入り込めます。

検討が進んだ層への対応も同じメディア内で完結できます。比較記事や導入事例を用意しておけば、候補を絞り込む段階の読者を離さずに済みます。取り組みの全体像はBtoBコンテンツマーケティングの事例!成功させるための方法も解説で整理しています。

広告費に依存しない集客基盤になる

広告は出稿を止めた瞬間に効果も止まりますが、記事は資産として残ります。上位表示された記事は、追加の費用をかけずに流入を生み続けるため、長期的には獲得単価を押し下げます。獲得単価が高騰している事業ほど、この差が経営に効いてきます。

採用面での効果も見逃せません。事業内容や働き方を継続的に発信しているメディアは、求職者が企業研究をする際の材料になります。目的を複数持たせられる点も、施策としての強みです。

営業活動での再利用も価値の一つです。商談前に読んでもらう資料として送付したり、よくある質問への回答としてメールに添付したりと、記事は複数の部門で使われます。集客以外の用途を想定しておくと、テーマ選定の判断も変わります。

BtoBオウンドメディアの成功事例8選

ここからは、実際に運営されているメディアを目的別に取り上げます。運営会社の事業と、メディアがどの役割を担っているかの関係に注目して読み進めてください。

事例1|経営ハッカー(freee株式会社)

クラウド会計ソフトを提供するfreeeが運営するメディアです。会計、経理、人事労務、税務、確定申告、給与計算、起業、会社設立といったバックオフィス領域のテーマを網羅しています。対象は中小企業の経営者や個人事業主で、業務上の疑問を解決する内容が中心です。

特徴は、記事を読み進めるうちに自社サービスの必要性が伝わる導線設計にあります。会計業務の課題を理解した読者が、自然な流れで無料お試しへ進む構造です。読者の自発的な検索行動から始まっているため、抵抗感なく行動につながります。

事例2|Bizpedia(株式会社マネーフォワード)

バックオフィス向けクラウドサービスを展開するマネーフォワードのメディアです。財務や経理を中心に、経営に必要な知識を専門的かつ平易に解説する記事を蓄積しています。経営者やビジネスパーソンからの評価を集めている点が特徴です。

同一領域に競合が存在する場合でも、解説の深さと網羅性で差をつけられることを示す例です。専門知識をどこまで分かりやすく届けられるかが、読者の定着を左右します。

事例3|ボクシルマガジン(スマートキャンプ株式会社)

SaaS比較サイトを運営する同社のメディアです。ツール選定に関する情報を扱い、比較検討段階の読者を集める設計になっています。公開されている情報によれば、施策の見直しによって短期間でリード獲得数を大きく伸ばした実績があります。

比較検討系のキーワードは商談に近い層が検索するため、記事1本あたりの成果貢献が高くなります。集客量より購買意欲の高さを重視する設計は、BtoBで再現しやすい方針です。

事例4|ferret(株式会社ベーシック)

Webマーケティング領域の情報を扱う大規模メディアです。初心者から実務者まで幅広い層を対象に、SEO、SNS、広告など各分野のコンテンツを蓄積してきました。会員基盤を持ち、月間の訪問規模も大きいメディアとして知られています。

注目すべきは、検索以外の流入経路を確保している点です。会員登録者やメールマガジンの読者、SNSのフォロワーを抱えることで、検索順位の変動に左右されにくい構造を作っています。SEOに依存しない設計は、長期運営の前提として参考になります。

事例5|Sansan株式会社の営業DX領域メディア

名刺管理サービスを提供する同社は、営業DXというテーマに絞ったメディアを運営しています。領域を明確に限定することで、検索エンジンからも読者からも専門メディアとして認識されやすくなっています。自社商材と隣接する領域を選んでいる点が要点です。

同社は、働き方をテーマにした別のメディアも展開しています。目的の異なる読者層に対して媒体を分けることで、それぞれのテーマ性を保つ設計です。複数メディアを運営する際の考え方として参考になります。

事例6|セキュリティアナリストのつぶやき(株式会社日立ソリューションズ)

セキュリティ分野の専門家が情報を発信するメディアです。一般的な解説にとどまらず、アナリストの日々の活動や現場の視点を交えている点に独自性があります。他社が真似できない一次情報を軸にした構成です。

検索需要の大きくないニッチな領域でも、専門性の高さで確固たる位置を築ける例といえます。読者数の絶対値ではなく、届けるべき相手に届いているかを基準にする設計です。

事例7|サイボウズ式(サイボウズ株式会社)

グループウェアを提供する同社が、働き方や組織をテーマに運営するメディアです。製品の紹介ではなく、企業文化や価値観を伝えることに重点を置いた構成になっています。リード獲得ではなく、ブランディングと採用を主な目的とする型です。

成果の測り方も他の事例とは異なります。問い合わせ数ではなく、指名検索の増加や採用応募の質といった指標で評価する設計になります。採用目的での活用はオウンドメディアリクルーティングとは?始める際の注意点やメリットデメリットを徹底解説で整理しています。

事例8|LISKUL(SO Technologies株式会社)

中小企業向けのマーケティング情報を扱うメディアです。メディア自体を事業化し、他社が資料や商品情報を掲載できるサービスへ発展させている点が特徴になります。集客装置としてだけでなく、収益源としても機能している例です。

立ち上げ当初は、想定読者の像が実態とずれていたとされています。テレアポで接触していた層のイメージを引きずり、検索から訪れる読者と噛み合わなかったためです。読者設定を修正したことが転換点になった点は、多くの企業に当てはまる教訓です。

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成功事例に共通する5つのポイント

8つの事例は、業種も目的も異なります。それでも成果を上げているメディアには、設計上の共通点が見られます。自社に取り入れるべき要素として5つに整理します。

テーマを絞って専門性を確立している

成果を上げているメディアは、扱う領域を明確に限定しています。営業DX、バックオフィス、セキュリティというように、自社商材と隣接する範囲にテーマを絞ることで、専門メディアとして認識されています。手を広げすぎたメディアは、検索エンジンにも読者にも位置づけが伝わりません。

絞りすぎにも注意が必要です。検索需要が数十件しかない領域では、記事を積んでも流入が伸びません。商材の隣接領域のなかで、需要が確保できる範囲を見極める作業になります。構造の整理には【カテゴリ設計】読まれるオウンドメディアの作り方が参考になります。

一次情報で独自性を出している

上位記事をまとめ直しただけの内容では、読む理由が生まれません。支援した企業の傾向、現場で起きた失敗、自社で実施した調査など、他社が持っていない情報を組み込んでいる点が共通します。これは外注では代替できず、運営企業自身が担う工程です。

一次情報は大がかりである必要はありません。担当者の実務経験や、顧客から繰り返し受ける質問も、十分に独自の材料になります。制作前のヒアリングで、こうした素材を集める工程を組み込みます。

独自の情報は、引用や被リンクの獲得にもつながります。他社が参照したくなる材料を持つメディアは、外部からの評価が集まりやすく、サイト全体の検索評価も押し上げられます。制作コストは高くなりますが、資産としての寿命は長くなります。

検討段階に応じた導線を用意している

記事を読んだ後の出口が、内容に応じて用意されています。情報収集段階の読者には資料ダウンロードやメルマガ登録、比較検討段階の読者には無料相談や見積依頼というように、負担の異なる選択肢を配置しています。すべての記事で問い合わせを求める設計にはなっていません。

資料は、記事のテーマと関連づけて用意されています。記事で扱った内容をさらに掘り下げた構成にすることで、ダウンロード率が高まります。制作手順はホワイトペーパーの制作方法とは?作る手順や外注先の選び方を紹介!で確認できます。

検索以外の流入経路を持っている

検索順位はアルゴリズムの更新によって変動します。メールマガジンの読者、SNSのフォロワー、会員基盤といった直接届けられる経路を確保しているメディアは、変動の影響を受けにくい構造になっています。検索だけに依存しない設計が、長期運営の条件です。

経路の確保は、記事の獲得したリードから始まります。資料をダウンロードした読者にメールを配信し、関係を継続する仕組みを作れば、検索を経由しない接点が積み上がります。

長期前提で運用を続けている

紹介した事例は、いずれも数年単位で運営が継続しています。記事が検索で評価されるまでには時間がかかるため、短期で判断を下すと成果が出る前に終わります。継続そのものが、成果を分ける最大の要因です。

継続には、無理のない制作計画が必要になります。月に8本出して3か月で止まるより、月に4本を2年続けたほうが資産は積み上がります。着手前に、維持できる本数を見極めておきます。

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事例を自社に置き換える手順

事例から学んだ要素を、自社の施策に反映させる工程です。順序を飛ばして記事制作から始めると、方向性のずれが後から響きます。4つのステップで進めます。

手順1|目的とKGIを決める

最初に決めるのは、メディアで何を達成するかです。リード獲得、ブランディング、採用のどれを主目的とするかによって、テーマも指標も体制も変わります。複数の目的を同時に追うと、どちらも中途半端になります。

目的が決まれば、参考にすべき事例も絞られます。リード獲得が目的なら比較検討層を集めている事例、採用が目的なら企業文化を発信している事例というように、参照先が変わります。

手順2|参考にする事例を選ぶ

自社と条件の近いメディアを2つか3つ選びます。業種の一致より、目的と商材の性質が近いかどうかを基準にすると、参考になる度合いが高まります。規模が大きすぎるメディアは、投下しているリソースが異なるため参考になりにくくなります。

選んだメディアは、記事一覧、カテゴリ構成、CTAの配置、更新頻度という4点で観察します。どのテーマにどれだけの記事を割いているかを見れば、注力領域が読み取れます。

自社と競合する領域のメディアは、参考にしつつも距離を取ります。同じキーワードを正面から狙えば、先行しているぶん不利な戦いになります。学ぶのは構造であり、テーマの選択はそのまま真似しない判断が必要です。

手順3|テーマ領域を絞る

自社商材の隣接領域から、扱うテーマを決めます。顧客が発注前に調べていること、営業が繰り返し受ける質問、社内に蓄積されている知見の3つが手がかりになります。検索需要の確認も同時に行います。

決めた領域のなかで、注力するカテゴリを2つから3つに絞ります。最初から広げると記事が分散し、どの領域でも専門性が伝わりません。実際の立ち上げ手順はオウンドメディア立ち上げの方法とは?メリットや設計の流れを詳しく解説!で確認できます。

手順4|制作体制を組む

記事制作は、企画、構成、執筆、編集、入稿の工程に分かれます。すべてを一人で担う体制は破綻しやすく、工程ごとに役割を分けることが継続の条件です。社内リソースが不足する場合は、執筆工程から外部に切り出す方法が一般的になります。

外注する場合も、一次情報の提供と方向性の決定は社内に残します。この2つを手放すと、事例に共通していた独自性が失われます。分担の考え方や相場についてはオウンドメディアライターに必要なスキルとは?相場からライター募集の探し方を解説で整理しています。

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BtoBオウンドメディアで成果が出ない原因

運営しているのに成果が見えない場合、原因は限られたパターンに集約されます。事例との違いを照らし合わせることで、どこを直すべきかが見えてきます。

テーマが自社商材から離れすぎている

アクセスは集まるのに問い合わせが増えないメディアに多い状態です。検索数の大きい一般的なテーマを扱った結果、集まった読者が自社の顧客層と重なっていないことが原因になります。流入の質を確認する必要があります。

判断材料として使えるのが、流入キーワードの一覧です。自社サービスの検討につながり得る語が並んでいなければ、テーマ選定から見直します。集客量ではなく、届けるべき相手に届いているかを基準にします。

すべての記事のCTAが問い合わせになっている

記事の内容にかかわらず、末尾に同じボタンを置いている状態です。情報収集を始めたばかりの読者にとって、問い合わせは営業を受けることを意味するため、心理的な負担が大きすぎます。反応が得られないまま、機会を逃し続けることになります。

資料ダウンロードやチェックリストの配布など、負担の軽い出口を用意するだけでリード数は改善します。記事の検討段階に応じて出口を変える設計が、事例に共通していた要素です。

更新が止まっている

立ち上げから半年前後で更新が止まるケースは非常に多く見られます。原因の多くは、担当者の兼務による工数不足と、短期で成果を求められる社内環境にあります。着手前に必要な工数と期間を経営層と共有しておくことが、継続の条件になります。

更新が止まった記事は、時間の経過とともに順位を落とします。制作本数を減らしてでも継続する判断のほうが、結果として資産は積み上がります。

情報が古くなった記事の放置も同じ問題を招きます。制度や相場が変わった内容をそのまま残すと、サイト全体の信頼性に影響します。新規制作と並行して、既存記事を見直す枠を毎月確保しておきます。

事例を参考にするときの注意点

事例は有用な材料ですが、扱い方を誤ると判断を狂わせます。読み解く際に押さえておくべき3点を挙げます。

公開されている数値をそのまま目標にしない

月間数百万PV、リード獲得数十倍といった数値は、条件が揃った結果として生まれています。投下した人員、期間、既存ドメインの評価といった前提が異なる状態で同じ数値を目標に置くと、達成できない計画になります。参考にするのは数値ではなく、そこに至る設計の考え方です。

支援会社が公開している成果数値は、施策の一部を切り出したものである場合もあります。どの期間の、どの範囲の数字なのかを確認したうえで受け取ります。

立ち上げ時期の条件が違う

数年前に立ち上げられたメディアは、当時の競争環境で評価を積み上げています。同じテーマに現在参入する場合、すでに上位を占めている記事群と競合することになります。同じ方法で同じ結果が得られるとは限りません。

後発で参入する場合は、より領域を絞るか、一次情報の比重を高める方向で差をつけます。網羅性だけで先行メディアを上回るのは、現実的な戦略ではありません。

見えている部分だけを真似しない

外から観察できるのは、記事の見た目とサイト構造だけです。実際の成果を支えているのは、キーワード設計、編集体制、社内での合意形成といった見えない部分です。デザインや記事の書式を似せても、結果は再現されません。

観察する際は、なぜこのテーマを選んだのか、なぜこの順序で記事を並べているのかという問いを持って見ます。構造を読み取る視点があれば、規模の異なるメディアからも学べる要素が見つかります。

まとめ|事例から読み取るのは数値ではなく設計の考え方

BtoBオウンドメディアで成果を上げている企業は、扱う領域を自社商材の隣接範囲に絞り、一次情報で独自性を確保しています。読者の検討段階に応じた出口を用意し、検索以外の流入経路も確保している点が共通していました。

自社に置き換える際は、目的とKGIを決め、条件の近い事例を選び、テーマ領域を絞り、制作体制を組むという順序で進めます。執筆から着手せず、設計工程に時間をかけることが成果への近道になります。

事例を見るときは、公開されている数値をそのまま目標にしないことが重要です。立ち上げ時期も投下リソースも異なるためです。読み取るべきは、なぜそのテーマを選び、どう導線を組んだのかという設計の考え方です。そこを自社の条件に置き換えられたとき、施策は前に進みます。

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